3つの「すし」どう違う

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3つの「すし」どう違う

2024.01.18

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「昔から疑問に思っていたのに、これまで調べもしなかった」誰しもそういう疑問はあると思います。
べつに知らなくても生きていけるし、知ったところで何か分かりやすくトクするわけでもない。
日本食というテーマでいうと
「寿司」「鮨」はどっちも「すし」だがどう違うのか?
は、わりと多くの人が共通で抱いているけれど、あまり調べられることのない疑問の1つかもしれません。

というわけで、調べてみました。

「鮓」の由来と用途

「寿司」「鮨」以外に「鮓」という漢字もあり、これも「すし」と読みます。
「寿司」「鮨」「鮓」のなかでは、この「鮓」が、もっとも古くからある漢字です。
「鮓」は、「熟鮓(なれずし)」や「鮒鮓(ふなずし)」などに使われ、そのためか関西系のすしに用いられる傾向にあります。

もともとは魚と塩と米を乳酸発酵させた食品を指す言葉です。
塩や糟などに漬けた魚や、発酵させた飯に魚を漬け込んだ保存食を意味した漢字です。

「鮨」の意味とその使用

「鮓」の次に古い表記は「鮨」です。
中国で「魚の塩辛」を意味する漢字だったようですが、日本では「鮓」と同じ意味で使われるようになりました。

「鮨」は、握り鮨、押し鮨、など、発酵系以外のすしにも使われました。
現代で最も一般的な「すし」は江戸前の握りずしであるため、「鮨」は江戸前系のすしに多く用いられる傾向にあります。

「寿司」の誕生と普遍性

「寿司」は、江戸時代に縁起かつぎで使われた当て字のようです。
すしは朝廷への献上物とされており、結婚式や祝い事の席で出される「ハレ」の日のごちそうだったこともあり、縁起のよい食べものとみなされました。
したがって「寿司」という「めでたい」漢字が当てられたわけです。

また、

  • かっぱ巻き
  • 稲荷ずし
  • 五目ずし
    などではネタに魚を使わないので、魚偏のつく「鮓」「鮨」で表現するのはふさわしくないとされます。
    でも「寿司」ならネタの種類を問わず、使えます。

すなわち
*「めでたい漢字」であること

  • ネタの種類も問わず使えること
    から、現在では「寿司」が最も一般的な表記として使われているようです。

まとめ

日本食の代表格である「寿司」ですが、その表記には「鮓」「鮨」「寿司」の3つが存在します。
「鮓」は最も古い表記。「鮨」は次に古い表記。「寿司」は、江戸時代に縁起かつぎで使われた当て字です。
魚を使わないすしの表現としても適しているため、「寿司」はネタの種類を問わず使用でき、現在では最も一般的な表記となっています。