包丁の話。
和包丁の魅力と人気
日本人が日々使っている道具の中には、外国人を夢中にするようなものがたくさんあるようです。
和包丁もそのひとつ。
日本の包丁をお土産にする訪日外国人が多いことをご存じでしょうか。
かつては海外の有名シェフが来日のたびに和包丁を何本も買いこんでいました。
今では料理人ではないふつうの観光客が日本の包丁を買って帰ります。
包丁の輸出も2004年以降、伸びています。
日本の包丁の特性と魅力
日本の包丁が外国人の心を惹きつけるのは、1つには
- 切れ味の良さ
- 切れ味が長持ちすること
- 握りやすさ
が、あるようです。
西洋の包丁は「押して」切りますが、日本の包丁は「引いて」切ります。
鋭い刃先をあまり力を入れずにスッと引き、食材の繊維をつぶさずに切ります。
多様な種類と美的価値
惹きつけポイントのもう1つは、
- 刺身包丁
- 出刃包丁
- 菜切り包丁
- 三徳包丁
- 牛刀
など、「包丁の種類の多さ」。
和包丁は種類がなんと200ほどあります。
プロはそれを使い分けるのですが、いいかえれば、和食では素材ごとに包丁が違うということですね。
それほど種類が多いのですから、刃物屋さんの店先にさまざまな包丁がずらりと並ぶ様子に、外国人が目を丸くするのも無理ありません。
さらに1つには、デザインや芸術性。
国際的な展示会やコンテストで、和包丁の優れたデザインが高く評価されています。
日本刀をイメージさせる模様が刃の部分にあったりすれば、外国人はもうたまらない持ちになるようですよ。
包丁を使う技術
日本料理で包丁を使うとき、「上から下にまっすぐ切り落とす」はよくないらしいです。
「刃をナナメにして滑らすように切る」が正解。
また、野菜を切るときは、
- 生で食べる場合:野菜の繊維を横から断ち切る
- 火を通す場合:野菜の繊維に沿って切る
というのが正統だそうです。
プロの料理人でもない限り、現代の日本人はここまで繊細に包丁を使うことはあまりないと思います。
しかし、この「包丁を使う技術」、じつは安土桃山時代(信長・秀吉のころ)までは上流階級の教養とされていたんです。
当時の貴族や武士は、ここに書いたような包丁使いを常識として身につけていました。